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『「マルチ・クラウド」という選択肢』を読んで考えたこと

 「マルチ・クラウド」という選択肢:ITpro

Cloud OSというものが実際に存在するとすれば、それはクラウドの中で提供される各種サービスを統合し、一つのアプリケーションとして提供するためのプラットフォームを提供するものだろう。

クラウド内の各サービスが持つAPIは統一性もなく、統一のメカニズムもなく、おそらく共通点はAPIの下層プロトコルとしてHTTPが使われるという点だけだ。そうした混沌とした状況の中で一つの秩序をもたらし、規範を与えるものが必要で、それが登場して初めて、マルチクラウド、クラウドを使用し、クラウドの中に存在するアプリケーションが実用的な解になる。

ただ、はじめはすべてクラウドの中にあるのではなく、既存のバックオフィスやデスクトップにあるアプリケーション群も使用しながら、それにクラウドの中にあるサービスを組み入れ、統合していくシナリオから始まっていくだろう。それがバックオフィスの出来事であれば、Osloなんだろうし、デスクトップでの出来事であればLive Meshなんだろうと思う。

おそらく、クラウドコンピューティングで一番遅れているのは、クラウドコンピューティングをどう作るかという実装技術と言うよりも、どのように作るかという工学的な部分での作業が進んでいないように思う。たとえば、バックオフィスのアプリケーションをどのように作るかという点ではエンタープライズアプリケーションパターンのようなアプリケーションのパターン言語化、方法論の整備、確かに十分ではないにせよ前進し、積み重ねもあるが、本当にクラウドの世界でそれをどうすべきかについてはまだまだこれからだ。本当にクラウドでアプリケーションが構成され、それが一般化していく過程では、工学的な発明も必要になるはずだ。

ということで、無理矢理まとめてしまうとクラウドコンピューティングに関してはやっとその姿が見てきたかなと言うところだ。これから恐らく多くのお金と人の汗と涙と血が流れてやっと具体的にみんなが納得する姿になって、あと10年もしたら、もうそれは古いと言われるぐらい確かなものになっていくのだと思う。後退はしない、でも今目の前にすべてがあると思い込むのも間違いだ。

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