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書評:クラウドを支える技術

クラウドを支える技術 ―データセンターサイズのマシン設計法入門 (WEB+DB PRESS plus)
クラウドを支える技術 ―データセンターサイズのマシン設計法入門 (WEB+DB PRESS plus) ルイス・アンドレ・バロッソ(Luiz André Barroso) ジミー・クライダラス(Jimmy Clidaras) ウルス・ヘルツル(Urs Holzle) Hisa Ando

技術評論社 2014-09-26
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いわば、Googleの中の人たちによって書かれたWSC(Warehouse Scale Computer)と呼ばれるようなクラウドデータセンターの設計方法について、マシンここの部品の選定から、ソフトウェアの役割、ネットワーク設計、電源、冷却装置の設計に至るまで一通り網羅されている。有名なThe Datacenter as a Computer 第二版の翻訳である。原著は以下のURLよりPDF版を入手することが出来る。

http://www.morganclaypool.com/doi/abs/10.2200/S00516ED2V01Y201306CAC024

長い京のことについて書かれた訳者後書きのことは忘れることにして、とりあえず、時間がある程度たってしまったけれどもThe Datacenter as a Computerがこうして日本語として読めることになったことは喜ばしい。

野次馬的興味で読み始めても良いが、普段我々の多くはクラウドを作ったり運営する側ではなく、消費する側ではあると思うが、マイクロプロセッサのアーキテクチャへの理解がプログラミングの技量を向上させるように、クラウドデータセンターという1台のコンピューターのアーキテクチャへの理解がクラウドを使用したシステム開発の技量を向上させるはずだ。従って、データーセンターの構築運営側だけでなく、クラウドを使用する側のプログラマやITPro、企業でIT戦略を決定される方々にも是非読んでほしい。10年代の半ばを過ぎ、20年代に向けて本書がIT技術者の基礎教養の一つになるはずである。

ただし、本書の内容はあくまでも本書が書かれた2013年時点のことだ。ネットワークの構築技術は本書から現状はさらに進んでいるはずだし、ストレージの関係も変わってきているし、本書ではXeon(DP)のAtomに対する有利性が強調されているが、来年以降本当にそのように言えるだろうか。あくまでも本書を読んで満足するのではなく、ここをきっかけに「今」がどうであるのか知ろうとする努力も忘れてはだめだろう。

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