「本おすすめ」カテゴリーアーカイブ

書評: 自叙伝 ジャン=リュック・ピカード

ブクログよ転載:

ジャンリュック・ピカード大佐(元)の自叙伝。意外とやんちゃだった若い頃(TNG作中でも書かれる)、スターゲイザーでの経験、エンタープライズ艦長になった経緯とそこでの冒険、データとの出会い、現在フィルムでは描かれていない、Qによるデータの復活、バルカン大使時代、ビバリーとの結婚が書かれている。もちろん創作なのだけど、それを感じさせない密度と濃さを持った内容になっています。

書評:MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」

以下ブクログより転載。

40台半ばの人間にとってMSVは至福であり呪詛でもある。この世代は「アニメ」からガンダムに入ったのではなく、プラモデルからガンダムに入っているからだ。ボクらにとってのモビルスーツはアニメ論に於ける記号ではなく、その世界に実在する兵器であり、ジョニー・ライデンやシン・マツナガはその世界の実在したエースパイロットだ。そうした世界観の幅の深さがボクらの求めるリアリティで有り、ボクらが20代で、わかったようなわからないような「セカイ」感を持つエヴァンゲリオンに熱狂し、そして近年ガンダムユニコーンやヤマト2199/2202に熱狂した遠因でもある。いわばボクらにとってMSVはその後の人生を何か縛り付ける呪詛であり、そのセカイにいられることは至福である。現に毎月ほぼ「ジョニーライデンの帰還」を読む為だけにガンダムエースを購入しているし、ガンダムセンチュリーをやったモデルグラフィックスは特別な模型詩のままでいる。本書はそうしたいかれたボクらにとって、その呪詛をお焚き上げするための護符のような物であり、多くの同年代が本書によって少しでも軽くなってくれればと思う。ま、そんな簡単に剥がれるような呪詛じゃないけどな。

書評: 明治維新とはなんだったのか-世界史から考える

以下ブクログより再掲。

もう明治維新150年とか薩長土佐で勝手にやってくれと思っている人たちにとっては当たり前の視点・史観では有るけど、それがこの2名の対談でより明確になっていて大変心地が良い。よく太平洋戦争の総括が不十分である事への指摘が多いが、そもそも日露戦争当時戦争への総括が不十分であり、その実際が広く国民に知らしめられなかった事により、再び「鎖国」となり、それ太平洋戦争へ繋がっているという指摘は重要だし、それは今の我が国の現状にも重なって見える。戦争は外交・政治の一手段である、これは即ち戦争中であろうとその前段階であろうと相手との対話と交渉が必要である事を示している。日中戦争時の近衛内閣の「国民党とは交渉に値せず」は、現状の我が国の北朝鮮政策と重なって見えてきて仕方がない。右手で棍棒で殴り合いながらでも、左手の指一本ぐらいは相手と繋いでおくのが外交であり、政治である。結局戦争は政治の一手段である以上対話でしか終わらないのだ。

書評: 入門 Python 3

最近Pythonの復習と学習を進めている。きっかけは二つ。SQL Serverに搭載された事、二つ目はPythonが現代の”Basic”だと感じたからだ。感じたと書いたのはそれがすごくフィーリング的な事だからだ。ボクらの世代はPCを使う事は大なり小なりBasicを憶える事だった。少なくとも”LOAD”命令を憶えないとテープからゲームがロードできなかったし、少ない小遣いで楽しむためには、雑誌に書かれたコードは意味はわからなくても書き写して何らかのプログラムが動かす必要があった。そして、そのうちに雑誌に書かれた呪文の方が気になるようになり、プログラムを憶えた。もちろん”Basic”だ。そのうち、ゲームよりもプログラミングやPC自体を知る事の方が楽しくなる。今のPythonは子供達が初めて出会うプログラミング言語の一つであるだけでなく、ボクらが8bitのPCとBasicで憶えたコンピュータと操るという楽しみを、Raspberry PiとPythonが今の子供達に与えている。また、Pythonはそういった初学者向けのプログラミング言語と言うだけでなく、実用的な業務システム、コンシューマ向けのサービス、深層学習などのAI分野や科学技術計算やシミュレーションでも使用されている。かつて”Basic”が数世代のプログラマのコモンセンスだったように、今はPythonがその地位に(否、それ以上の地位を)占めている。Pythonがコモンセンスだ。

本書はそんなPythonの学習に適している。もう3年前の本なので内容が多少古いところもあるが、Python3が下位互換性に気をつけて開発されているおかげで(Python2?知らない子だ)、今でも問題無く通用する。ただし、多くのオライリーの言語「入門書」がそうであるように、本書は言語の入門書であってプログラミングの入門書ではないし、プログラマになるための本でも無い。本書は何れかの言語にそれなり精通した人間が自分の知っている言語と(できればオブジェクト指向プログラミング言語)と比較しながら学習するのに適している。したがって、目先の仕事をやっつけたい人には向いていないかもしれない。

Pythonは間口は広いが、薄っぺらくはない奥行きが深い言語だ。このページ数を費やして学習する意味があったと思っている。

書評: 藝人春秋2

情報源: 『藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ』のレビュー 水道橋博士 (Tadahiro Ishisakaさん) – ブクログ

上ブクログからの転載。

若い頃の僕にとって水道橋博士はスーパージョッキーに出てくるたけし軍団の若手芸人という人でしかなく、その後もタモリ倶楽部等で見掛けるハカセにもその印象のままだったのだけど、おや、この人はちょっと違うなと思うようになったのは宮崎哲也氏とホストを務めた博士の異常な鼎談を初めて見たときからだった。

番組ホストの構成からぱっと見で考えると、宮崎哲也氏がゲストに切り込んでハカセがいわば狂言回しの役になるのだと見始めたのだけど、実際には逆で、ハカセがゲストに切り込んでいって、宮崎哲也氏が狂言回しのようにそれの補助線を埋めていく展開でびっくりした。ハカセは無知な視聴者の代表を装いつつ、実際には恐らく沢山の時間をかけて「自分で」下調べしたことがわかる質問や話題をゲストに投げていき、うまく言質を引き出していく様に、この人は稚拙に仕事を進めるのではなく、慎重に仕事を積み重ねていく人なのだと印象が一変した。

藝人春秋もそんなハカセが積み上げた仕事から抽出された週刊誌2ページのコラムの集積だ。その集積がつまらないものであるはずがないし、道化としての藝人の仕事が全うされている。

書評 I18N: ソフトウェア・グローバリゼーション入門  I18NとL10Nを理解する – 西野竜太郎

世界で使われるソフトウェアを作るには、国際化(Internationalization, I18N)+地域化(Localization, L10N)が欠かせません。本書はアジャイル時代に対応したソフトウェアのグローバリゼーション(G11N)について、その基本から開発プロセス・具体的な手法やツールまで、G11Nの全体を解説します。

情報源: ソフトウェア・グローバリゼーション入門  I18NとL10Nを理解する – 達人出版会

まだβ版の書籍ではあるけど、紹介したいと思います。

良い技術書の多くは著者本人の問題意識から著作を始めたものが多いのですが、これもその一冊で、大変素晴らしい本です。

著者人身がI18Nに業務として関わる中でI18N/L10Nに関する日本語での情報のなさ等の問題を認識し、実際の作業に即す形でI18N/L10Nに関する基礎的な知識、作業の進め方についてまとめられています。特定のプラットフォームを対象に細かな実装にまで踏み込んではいませんが、かえってそのことにより中立的にI18N/L10Nの基礎的な知識を身につけることが出来ると思います。

ともすると国内でI18N/L10Nの知識を必要とするのは、ゲーム業界や一部ロボット/CNC関連を除くと、海外のISVが作成したソフトウェアやサービスを国内の事業所で日本向けにL10Nするエンジニアが必要としているだけと見成されるところがありましたが、今後国内の市場が飽和。縮小していく中で、国内のISVやサービスプロバイダも海外へ目を向けないと生き残りが難しい時代になっていくと思われます。そうした状況の中では、ソフトウェアエンジニアが基礎知識としてI18N/L10Nに関する知識を持つ必要が出てきます。その時にI18N/L10Nに関する知識を得るために最初に読む本として本書は優れたものになると思います。

.NETのプログラマが次の読むのはこれ。

書評:スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室

スターウォーズ、DC/MARVELコミックス、ハインラインで学ぶ政治。

筆も軽いし、1時間ぐらいで気軽読めるし、「政治」について学べます。高校の公民での教科書では、政治の仕組みは説明しても、何故政治が必要なのか、何故政府があったり、政府が無い方が良いと言ったりする人がいるのかは余り明確に教えてくれませんが、この本では簡単にややぶっきらぼうにそこだけ、政治とは何かだけをを説明します。

政治や政治家は何のためにあるんだとか考えている中高生や、中二病から抜けられないおっさんにお勧め。読んだ後は、池上彰の説明がちょっと違って聞こえてくると思いますよ。

余談ですが、SF読もうぜ。特に古典となっている物。テクノロジー描写は読んでいてつらいところもあるけれど、大事なことはSFで学べる。

答えはGEにあり—日経コンピュータ

 世界最大の重電メーカー、米ゼネラル・エレクトリック(GE) は2020年までにソフトウエア事業の売上高を150億ドルに伸ばし、ソフト企業として世界トップ10入りを目指す計画を打ち出した。GEの強みは、自身が「デジタル製造業」へと変化した「経験」と、シリコンバレーに学んだ最新テクノロジーや経営手法だ。最新OSSを使いこなし、…

情報源: 答えはGEにあり—目次:日経コンピュータDigital(有償サイト)

GEがどうやって産業のプラットフォーマーとなろうとしているのかがこの特集を読むとわかります。GEが唱えはじめた時、Industrial IT自体は曖昧な物でしたが、その後、彼らが実際に行っている社内改革、作り上げたサービス基盤、提供しているサービスはそれを高度に具体化しています。

GE と Microsoft が提携してGEのPredixをAzureに載せていくらしい

ドイツのIndustrial 4.0がどちらかというとEU的ISO的な枠組みの中で産業間、企業と行政とで協調を取りつつ国家としての競争力を維持するための次世代を狙う形であるのに対して、GEは1社で踏ん張って、踏ん張るだけでなく自らの体制の改革も行いながら、ドイツのやり方では達成できない速度でそれを成し遂げようとしているところがやっぱりすごい会社なんだと思います。(そしてアメリカ的であります。)このままなら、欧州のオートメーションや重電企業もGEに対しては周回遅れになりそうです。

いや、これは勝てない。

また、経営者、意思決定者がデジタルネイティブとはなんであるかを理解していること、デザイン思考で「もの(Objects)・こと(Things)」の発想をしていくことの重要性がわかります。若いやつに考えさせればいいじゃないよそこのおっさん。

計装業界の皆様におかれましては、普段日経コンピュータなど読まれないとは思いますが、今回はお金払って読んだ方がいいです。(都内や大都市の大きな書店ならばら売りもあるはず。)こんな特集月刊計装じゃやってくれません。(出来ない。)そして一エンジニアでもあっても自分の将来に不安を少しでも感じて自分は何をすれば考えて頂けたらと思います。特に若い人は。黒船なんてもんじゃ無いよ。


書評: あなたの知らないところでソフトウェアは何をしているのか?

ソフトウェアが行っている暗号処理、画像/映像処理、検索、並行実行に関するアルゴリズムを数式や直接的なソースコードを廃して、平易な文章と図で説明したもの。基本的に非ソフトウェア開発者向けに書かれている本で、それなりに数学的な知識(と言うより感のようなもの)があれば内容は理解できると思う。

最近大人も子供も「習い事」としてプログラミングブームらしいが、多くの人にとってはHello Worldが書ける事自体よりも、それがITのシステムとそのソフトウェアが何をやっているかを知る事が大事だと思うので、ITがブラックボックスだから何をやっているか知りたいので一般向けプログラミングスクールに行きたいと思っている人たちに本書をおすすめしたい。本書の内容を自分の手で実現してみたいと思ってからプログラミングスクールに行っても遅くはないと思う。ただ、もう一般向けのプログラミングスクールでは面白くないかもしれないが。

また、職業プログラマとなってしまった人たちにとっては本書の内容は職業としての一般教養内なので、特に文系からSE/ソフトウェア開発者になってしまった新人から中堅までにお勧めしておきます。ベテランも読み物としてそれなりに面白いので、買って損はしないと思う。(まぁそこは自己判断)

書評: Unix考古学

UNIX誕生の歴史をベル研での誕生時から、バークリーでのBSD開発、SUN Workstationの単勝とそれに影響を与えたPARCのAltoの話、そしてUnix WarによるUNIXの自滅までを追った技術史の解説。要所要所で論文からの引用があったり、途中のコラムや脚注も素晴らしいので、資料的価値もあるのでUNIXやコンピューティングの歴史に興味がある方はぜひ手に取られたい。

基本的にはソフトバンクから出ていたUNIX USERの連載をまとめ再編集して加筆したもの。

大変楽しく読めた。

また、生まれたときからLinuxがあると言った若い人も、どうして今のLinux/Unixがこうした仕組みなのか、シンプルであることが尊ばれるのか理解する上でも、「UNIXという考え方」などと一緒に読んで見ると良いと思う。