「本おすすめ」カテゴリーアーカイブ

書評: 藝人春秋2

情報源: 『藝人春秋2 下 死ぬのは奴らだ』のレビュー 水道橋博士 (Tadahiro Ishisakaさん) – ブクログ

上ブクログからの転載。

若い頃の僕にとって水道橋博士はスーパージョッキーに出てくるたけし軍団の若手芸人という人でしかなく、その後もタモリ倶楽部等で見掛けるハカセにもその印象のままだったのだけど、おや、この人はちょっと違うなと思うようになったのは宮崎哲也氏とホストを務めた博士の異常な鼎談を初めて見たときからだった。

番組ホストの構成からぱっと見で考えると、宮崎哲也氏がゲストに切り込んでハカセがいわば狂言回しの役になるのだと見始めたのだけど、実際には逆で、ハカセがゲストに切り込んでいって、宮崎哲也氏が狂言回しのようにそれの補助線を埋めていく展開でびっくりした。ハカセは無知な視聴者の代表を装いつつ、実際には恐らく沢山の時間をかけて「自分で」下調べしたことがわかる質問や話題をゲストに投げていき、うまく言質を引き出していく様に、この人は稚拙に仕事を進めるのではなく、慎重に仕事を積み重ねていく人なのだと印象が一変した。

藝人春秋もそんなハカセが積み上げた仕事から抽出された週刊誌2ページのコラムの集積だ。その集積がつまらないものであるはずがないし、道化としての藝人の仕事が全うされている。

書評 I18N: ソフトウェア・グローバリゼーション入門  I18NとL10Nを理解する – 西野竜太郎

世界で使われるソフトウェアを作るには、国際化(Internationalization, I18N)+地域化(Localization, L10N)が欠かせません。本書はアジャイル時代に対応したソフトウェアのグローバリゼーション(G11N)について、その基本から開発プロセス・具体的な手法やツールまで、G11Nの全体を解説します。

情報源: ソフトウェア・グローバリゼーション入門  I18NとL10Nを理解する – 達人出版会

まだβ版の書籍ではあるけど、紹介したいと思います。

良い技術書の多くは著者本人の問題意識から著作を始めたものが多いのですが、これもその一冊で、大変素晴らしい本です。

著者人身がI18Nに業務として関わる中でI18N/L10Nに関する日本語での情報のなさ等の問題を認識し、実際の作業に即す形でI18N/L10Nに関する基礎的な知識、作業の進め方についてまとめられています。特定のプラットフォームを対象に細かな実装にまで踏み込んではいませんが、かえってそのことにより中立的にI18N/L10Nの基礎的な知識を身につけることが出来ると思います。

ともすると国内でI18N/L10Nの知識を必要とするのは、ゲーム業界や一部ロボット/CNC関連を除くと、海外のISVが作成したソフトウェアやサービスを国内の事業所で日本向けにL10Nするエンジニアが必要としているだけと見成されるところがありましたが、今後国内の市場が飽和。縮小していく中で、国内のISVやサービスプロバイダも海外へ目を向けないと生き残りが難しい時代になっていくと思われます。そうした状況の中では、ソフトウェアエンジニアが基礎知識としてI18N/L10Nに関する知識を持つ必要が出てきます。その時にI18N/L10Nに関する知識を得るために最初に読む本として本書は優れたものになると思います。

.NETのプログラマが次の読むのはこれ。

書評:スター・ウォーズに学ぶ「国家・正義・民主主義」 岡田斗司夫の空想政治教室

スターウォーズ、DC/MARVELコミックス、ハインラインで学ぶ政治。

筆も軽いし、1時間ぐらいで気軽読めるし、「政治」について学べます。高校の公民での教科書では、政治の仕組みは説明しても、何故政治が必要なのか、何故政府があったり、政府が無い方が良いと言ったりする人がいるのかは余り明確に教えてくれませんが、この本では簡単にややぶっきらぼうにそこだけ、政治とは何かだけをを説明します。

政治や政治家は何のためにあるんだとか考えている中高生や、中二病から抜けられないおっさんにお勧め。読んだ後は、池上彰の説明がちょっと違って聞こえてくると思いますよ。

余談ですが、SF読もうぜ。特に古典となっている物。テクノロジー描写は読んでいてつらいところもあるけれど、大事なことはSFで学べる。

答えはGEにあり—日経コンピュータ

 世界最大の重電メーカー、米ゼネラル・エレクトリック(GE) は2020年までにソフトウエア事業の売上高を150億ドルに伸ばし、ソフト企業として世界トップ10入りを目指す計画を打ち出した。GEの強みは、自身が「デジタル製造業」へと変化した「経験」と、シリコンバレーに学んだ最新テクノロジーや経営手法だ。最新OSSを使いこなし、…

情報源: 答えはGEにあり—目次:日経コンピュータDigital(有償サイト)

GEがどうやって産業のプラットフォーマーとなろうとしているのかがこの特集を読むとわかります。GEが唱えはじめた時、Industrial IT自体は曖昧な物でしたが、その後、彼らが実際に行っている社内改革、作り上げたサービス基盤、提供しているサービスはそれを高度に具体化しています。

GE と Microsoft が提携してGEのPredixをAzureに載せていくらしい

ドイツのIndustrial 4.0がどちらかというとEU的ISO的な枠組みの中で産業間、企業と行政とで協調を取りつつ国家としての競争力を維持するための次世代を狙う形であるのに対して、GEは1社で踏ん張って、踏ん張るだけでなく自らの体制の改革も行いながら、ドイツのやり方では達成できない速度でそれを成し遂げようとしているところがやっぱりすごい会社なんだと思います。(そしてアメリカ的であります。)このままなら、欧州のオートメーションや重電企業もGEに対しては周回遅れになりそうです。

いや、これは勝てない。

また、経営者、意思決定者がデジタルネイティブとはなんであるかを理解していること、デザイン思考で「もの(Objects)・こと(Things)」の発想をしていくことの重要性がわかります。若いやつに考えさせればいいじゃないよそこのおっさん。

計装業界の皆様におかれましては、普段日経コンピュータなど読まれないとは思いますが、今回はお金払って読んだ方がいいです。(都内や大都市の大きな書店ならばら売りもあるはず。)こんな特集月刊計装じゃやってくれません。(出来ない。)そして一エンジニアでもあっても自分の将来に不安を少しでも感じて自分は何をすれば考えて頂けたらと思います。特に若い人は。黒船なんてもんじゃ無いよ。


書評: あなたの知らないところでソフトウェアは何をしているのか?

ソフトウェアが行っている暗号処理、画像/映像処理、検索、並行実行に関するアルゴリズムを数式や直接的なソースコードを廃して、平易な文章と図で説明したもの。基本的に非ソフトウェア開発者向けに書かれている本で、それなりに数学的な知識(と言うより感のようなもの)があれば内容は理解できると思う。

最近大人も子供も「習い事」としてプログラミングブームらしいが、多くの人にとってはHello Worldが書ける事自体よりも、それがITのシステムとそのソフトウェアが何をやっているかを知る事が大事だと思うので、ITがブラックボックスだから何をやっているか知りたいので一般向けプログラミングスクールに行きたいと思っている人たちに本書をおすすめしたい。本書の内容を自分の手で実現してみたいと思ってからプログラミングスクールに行っても遅くはないと思う。ただ、もう一般向けのプログラミングスクールでは面白くないかもしれないが。

また、職業プログラマとなってしまった人たちにとっては本書の内容は職業としての一般教養内なので、特に文系からSE/ソフトウェア開発者になってしまった新人から中堅までにお勧めしておきます。ベテランも読み物としてそれなりに面白いので、買って損はしないと思う。(まぁそこは自己判断)

書評: Unix考古学

UNIX誕生の歴史をベル研での誕生時から、バークリーでのBSD開発、SUN Workstationの単勝とそれに影響を与えたPARCのAltoの話、そしてUnix WarによるUNIXの自滅までを追った技術史の解説。要所要所で論文からの引用があったり、途中のコラムや脚注も素晴らしいので、資料的価値もあるのでUNIXやコンピューティングの歴史に興味がある方はぜひ手に取られたい。

基本的にはソフトバンクから出ていたUNIX USERの連載をまとめ再編集して加筆したもの。

大変楽しく読めた。

また、生まれたときからLinuxがあると言った若い人も、どうして今のLinux/Unixがこうした仕組みなのか、シンプルであることが尊ばれるのか理解する上でも、「UNIXという考え方」などと一緒に読んで見ると良いと思う。


書評: [改訂新版]Windowsコマンドプロンプトポケットリファレンス

やはり今回もジーンズのポケットには入らないポケットリファレンスになっている。

本書は基本的に必要なときに必要なコマンドをを探していくような使い方を想定した「ポケットリファレンス」ではあるが、初学者に取っては、まず何故コマンドラインなのか、コマンドの体系と概要を知ることが大事だし、ベテラン勢にとっては、新コマンドを知る、新しいオプションを発見する機会となるので、ぜひ一度「はじめに」からの通読をおすすめする。

本書はWindowsを使用したシステムの運用管理をする方、開発をする方には必携である。また、Windowsを業務で使用する方で、自分の仕事の効率を上げることに興味の有る方にもおすすめする。ちょっとWindowsのコマンドを憶えてバッチファイルが書けるようになるだけでもだいぶ見える景色が変わってくると思う。

Windows CLI初心者のみなさんへ

WindowsがGUI世代のOSで有ることは間違いないし、Windows NT Version 4.0あたりまではGUIでしか出来ないことがあったのも事実だ。

しかしながら、伝統的にマイクロソフトやWindowsがCLI(Commad Line Interface)を蔑ろにしてきた事実はないし、今ではGUIではできない事はあっても、恐らくPowerShellを含んだCLI環境でできないOS設定は無いはずである。また、長らく問題となってきたコンソールの貧弱な機能は、Windows 10で大きく改善されてきたし、不満があればConEmuなどの適当なコンソールエミュレータに変更すれば良いだけのことだ。

昨今、POSIX系のOSと単純な比較をしての非難も多いが、その非難の多くは単純にWindowsがPOSIXではないだけのことであって、全く別の系統のOSなのだから、別のコマンド体系、操作体系を持っていることは当たり前のことだし、両方使うのであれば、それぞれ憶えれば良いだけのことだ。POSIX環境だけがOSでは無い。

上に書いたように、最近特に風当たりの強いWindowsのCLI環境だけど、学習コストを払えばちゃんと答えてくれるものであるので、本書を手元に置いてぜひ学習して欲しい。

書評: コンピュータ開発のはてしない物語 起源から驚きの近未来まで

計算機の歴史を俯瞰してみる内容となっている。時代は旧石器時代から現在までとなっていて、内容としてはコンピュータの歴史の入門としては悪くない感じ。

ただし、パラメトロンコンピュータを初めとした国産計算機黎明記の話題については遠藤諭著の「新装版 計算機屋かく戦えり」(ISBN-13: 978-4756146786)よりだいぶ内容が薄いし、米国のそれについてもポール E.セルージ 著「モダン・コンピューティングの歴史」(ISBN-13: 978-4624000233)よりもだいぶ薄く、特にDECを中心としたミニコンピュータの歴史は無視されているのは残念だ。

ただ、そこまでの詳細を深追いしていくのはこの本の主旨では無いのだろう。

とりあえず中高生が計算機の歴史について俯瞰的に読む読み物としては大変良いのでは無いかと思う。

また、本書とほぼ同主旨で書かれていると思われる本としては、「モダン・コンピューティングの歴史」と同著者による「コンピュータって: 機械式計算機からスマホまで」(ISBN-13: 978-4492762134)があり、翻訳の巧みさもあって、こちらもおすすめである。

C# ブックガイド 2015

これはC# Advent Calendar 2015の12月8日分の記事です。

昨年は洋書ガイドブックを書かせていただきましたが、今年は今年出版され、日本語で読める書籍の中からの紹介です。

C#の入門書です。ある程度何らかの言語の学習が終えた方がC#の言語仕様や実際のプログラミングを学習されるのに適しています。

「入門」と書籍タイトルにありますが、C#の入門書では無いので注意です。この本は、現状VS 2012以前の環境で開発している方が、VS2015, C# 6.0に移行するための「入門」書です。内容的には良くも悪くも川俣節なので、好き嫌いや批判はあるかもしれません。

この2冊は、昨年の洋書ガイドブックで紹介した本が翻訳されました。

より実践的にC#を使いたい人向けの書籍で、川俣節全開です。い ま だ に Linq禁止とか言う現場もあるようですが、この本は逆説的にそれが何を失わせているかよくわかります。

最後はムックなので気楽に読める内容です。C# 6.0の概要の説明、簡単なプログラミング入門、SANSANでのチーム開発環境の説明がだいたいの内容です。個人的にはTFS以外のチーム開発環境が説明されているのが大きいかなと思います。

まとめ

今年出版された物から私が実際に読んで、おすすめできる物を並べてみました。今年は書籍的に結構な当たり年であったと思います。

来年も良い本が出てくると良いな。

WIRED(ワイアード)VOL.20

WIREDが判型が変わり、分厚くなって、かつてNTT出版から出ていたInterCommunicationみたいになったなぁと思ったら、デザインや、内容までそんな感じになってきました。まだあそこまでハイブロウでは無いけれど。

特集記事痛いも良いですし、今号はおすすめ。