現代のソフト開発の生産性は1920年代の自動車産業並 - @IT
宗氏の講演は、日本の製造業における生産方式の変遷と現代のソフトウェア開発における生産方式の状況を比較検討しながら、効率的なソフトウェア開発手法の解を提案するというもの。宗氏によると、(現代の)ソフトウェア開発の生産性は、1920年代の(米国の)自動車産業並だという。
モデルとなる企業はフォードだ。1913年に最初の移動組み立てラインを導入し、1927年までに「28時間で」(イタリア・トレント大学エンリコ・ザニノット氏の講演から)鉄鉱を自動車に組み立てることが可能になった。この時期、自動車業界における生産方式の常識は、製品の品質が個人のスキルに依存する「クラフト生産」方式から、「大量生産」方式へと劇的に切り替わった。現代では、主にトヨタ自動車が主導する「ジャストインタイム」の生産方式が主流である
そもそも、コンピュータソフトウェアの開発と自動車の生産を横並びで比べても仕方ないだろう。そもそも日本語でも開発と生産って違うでしょうが。
T型フォードの生産は画期的だったけど、T型フォードの設計はそんなに簡単だったの?あの伝説のフォードの設計室は何だったの?今のトヨタの自動車開発はその生産ほど洗練され、高効率なんだろうか?
そんなわけがない。自動車のような大量消費物は大量の時間と、お金がかかった開発・設計、プロトタイプ作成と試験の成果物を元に行われるから、高効率なんだ。コンピュータソフトウェアも自動車と同じように大量の時間と、お金がかかった開発・設計、プロトタイプ作成と試験の成果物を元に、ほとんど生産らしい生産をせずに大量生産される。デジタルだからコピーすれば「生産」は終わりだ。コンピュータソフトウェアほど生産性の高い物はない。
単純に自動車生産を持ち出して、コンピューターソフトウェアの生産が低いだの何だの言うのは嘘つきもいいところで、企業経営者や、ソフトウェアの発注者に全く間違ったメッセージを伝えてしまう。
せめて、マイクロソフトのソフトウェアファクトリぐらいのことは話してほしいわけだが、多くの「コンサルタント」はすぐに無邪気に自動車生産との比較を始めるので困る。自動車業界と比較するにしても比較すべきは、生産現場ではなく、その設計開発部門であり、そこを見ればそんなに変わらないとおもう。属人的でし、未だに試行錯誤の世界だし、お金も時間もかかる。リーンから得る部分もあるけど、それだからといって、ソフトウェアの「開発」が自動車の「生産」と同じ効率にならなければならないという理屈は絶対に成り立たないし、成り立つわけがないのだ。建築との比較をしていく方がよっぽど建設的だろう。
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