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書評:アホの壁

アホの壁 (新潮新書) アホの壁 (新潮新書)

新潮社 2010-02-20
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序章を読み終わって筆者にまたしてやられたと思った。タイトルと著者名に惑わされてまんまと買ってしまったと。をれの680円を返せという感じだったが、読み終わるとそうでもない。筒井康隆らしい人間論でユーモアの中に著者の教養を見え隠れさせるところが大変いやらしい。
アホの壁とは自分自身が何かで乗り越えてしまうどうしようもないアホへの壁のことで、ここを乗り越えてしまうことで他人を傷つけたり、不愉快にしたり、自傷したり、果ては戦争まで起こしてしまう。筆者はこれの原因を探求し、それぞれに対して解決策を提示しようとしながらも絶望している。

ただし「戦争」をのぞいては。

筆者が第5章の最後に書いている
「世界中から貧困をなくす困難さに比較すれば、世界中の人間に同様の高い教養を与えることによって戦争をなくすことは、おそらくユートピア的希望ではないでありましょう。」
達成不可能なほどの希望を持つことは現実主義から見たらアホな行為なのだ。だがアホがいなければ前に進まないこともある。

アホ万歳。

(自身のブクログから転載)

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