情報源: 続・拝啓『変わらない開発現場』を嘆く皆様へ ~ ウォータフォール & アジャイル編~ | とあるコンサルタントのつぶやき
赤間さんはきっと優しいので5から8年遅れていると書かれているけど、そもそも開発現場での工学の軽視と言うよりも無視というのは、そもそも遅れているとか言うレベルでなくて、この国のソフトウェア開発業界とアカデミズムにおける深刻な病理何じゃ無いかと思っている。そもそも遅れているというレベルなのか。
工学の軽視という点で、一つの例としてウォーターホールな現場でもTSP/PSPをその目的を理解して実践している現場がどれくらいあるだろうか。そもそも聞いたことがないのかもしれない。また、アジャイルにおけるペアプログラミング、TDD、ユニットテストによるカバレッジ測定がそれまでのソフトウェア開発における何に対するカウンターあるいは代替手段なのか理解できているだろうか。アジャイルは反ソフトウェア工学なのでは無くて、きわめてソフトウェア工学的である、そしてそうで無くてはならないと言うことが理解されているだろうか。
何故メータリングするのか、メータリングされたものから学んで改善しようとしているか。
ただ、工学軽視の方向は何もソフトウェア開発業だけの話ではないのだけど。日本では成長期にそれであまりにも上手くいきすぎたところがあるので、ラインの現場最適化に偏重しすぎて(上手くいきすぎたので)、コマンダー・スタッフレベルでの工学への注力と実践、教育・理解が進んでいない。ただ、製造業でのラインの現場最適化に関して経験のある人は判ると思うが、そこで工学が軽視されているわけではない。また、そこへのアカデミズムからの貢献も大きい。ただ、ソフトウェア開発業では「ライン」が事実上存在しない。最近問題にされるこの国でのホワイトカラーの生産性の低さと同じ病理がソフトウェア開発業にあるだけとも言えるのだと思う。