先週から今日までに読んだ本

正確には除く技術書ですが。先週から今日にかけては久々に読書的に実りの多い一週間だったな。

伊藤計劃
早川書房
発売日:2010-02-10

正直単行本を買うのには腰が引けていて文庫化されるのをまっていたのだけど、今は後悔している。もっと早く読むべきだった。

9.11のテロ後、世界ではテロによる核使用があり、先進国ではテロ防止を名目に生体認証を使った高度な監視社会を迎えていたが、世界各国では紛争、それも虐殺を伴う紛争が続きちっとも平和ではない近未来で、主人公は暗殺を主任務とする米軍特殊部隊の士官。
そうした紛争地に登場する謎の米国人ジョン・ポールを主人公が世界各国で暗殺対象として追っていくがそれが。。。というあらすじ。

主人公の心理描写や精神状態、薬剤やマインドコントロール、ナノマシンにより制御された精神と、古典的な言葉によるプロパガンダで紛争と虐殺を引き起こしていくジョン・ポールの対比。この小説は一見戦争サスペンスやスパイ小説の形をとりつつも、合理性の名の下に人が人の精神を支配していく恐怖、自分の過ちを精神的に背負い崩壊していく人間の弱さを上手く描いている。

この小説は近未来を舞台にしているが、テクノロジーを利用した個人のトラッキング、エグゼクティブ向けの自己啓発トレーニングや広告といった様々かたちでの「洗脳」は今も行われることであって、作品の近未来ではそれが過剰に過激に行われているに過ぎない。この個人への様々な干渉と洗脳への恐怖や人間性に対する攻撃は映画のボーンシリーズにおいてもシリーズを通して語られたテーマだと思う。

現実がSFを超えたようなことが言われて久しいが、SF本来の役割は未来という舞台装置を通して現代の問題に対し論じ、再考を促すことだ。そういった意味でSFの役割は終わっていないし、死んだジャンルでも何でもない。その点でも本書は優れたSF小説だし、著者が若く、多くの作品を残せずに他界したことは非常に残念だと思う。

久々によんだSF長編でした。メタルギアシリーズの影響を受けすぎている気はしますが、なかなか骨太で読み応えのある長編でした。

著者の最近の論説を比較的に平易にまとまったかたちで読めるので、著者の最近の著作やビデオニュース等の論説の副読本というか予習用に読んでいくと良いかもしれない。あるいは、宮台真司の入門書として手にとっても良い。

14歳からのとなっているが、当然中学生、高校生が読む意義は大きいが、その親の世代である我々にこそ必要となる内容なのかもしれない。社会が崩壊して機能していないのに、あたかもそれを機能しているかのように「キレイゴト」を並べられ、そのために社会の中で窒息しているのは子供たちの前に僕自身たちなのだから。

上の繰り返しですが、まずは親が読むべき本です。その上で自分たちの子がサバイバルしていくためにどのような道筋をつけてあげるのがよいのか考えるための材料がこの本にはあります。つくづく今の子供たちは非常に早い段間で人生に対する決断を迫られるようになったのだ再考しました。それ故に親の存在がより重量になっています。

漫画家水木しげるさんのありがたいお言葉を一日一言のかたちでまとめたありがたい本。
これを読むと生きるのが少し楽になりますが、働く気がなくなる副作用も大きいです。でも貧乏も怖くなくなるのでやっぱり働かないといけないと思ったりもします。

しかし通読してみて、こりゃつきあう奥さん大変だわ、本の一冊も書かないととてもじゃないけどやってられないよなと思うのでした。

朝の連続ドラマ小説にあわせた文庫化だと思います。ま、そんなことより睡眠大事だ。

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