書評:ニッポンの素―ルポ「今」を支える素材産業

ニッポンの製造業。それも素材産業について丹念に追ったルポルタージュ。
日頃目にする工業製品の素材がどのように作られているかを知るには最適な1冊。
中国や、韓国の工業に比べ今の日本の工業にアドバンテージがあるとすれば、素材産業に厚み(これは生産量としてもその技術にしても)があり、必要な素材を必要な品質で自国内で調達できるというメリットだ。

中国は今、EU統合によって、域内でドーナツ化が起きたドイツやフランスからプラントを丸ごと購入することや、余った金で日本の中小企業の買収を進めることで素材産業のかさ上げを計ろうとしており、日本も努力なしではこの先も安泰というわけにはいかない。

また、この本が記された時期ではまだあまり表立ってはいなかったが、製鉄に代表されるように、グローバル化により今まで以上にスケールメリットを追求しなければならない業種になってしまっており、製品ではない部分での競争も激しくなっている。
こういった状況の中で今、我々非専門家が日本の素材産業を見直すための資料としては本書が一番のものだろう。

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