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余剰計算能力のスポット取引

余剰電力あるいは国内で経済融通といわれている地域間での電力取引とそのオークションは国際的な電力自由化の中で珍しいことではありませんが、こんなに早く計算能力に対して行われるとは思っていなかったので、正直びっくりしました。

ということで、それを始めるAmazonのプレスリリースが以下のリンク先です。

Amazon.com — News Release
(AMAZON WEB SERVICES ANNOUNCES SPOT INSTANCES FOR AMAZON EC2)

Amazon EC2上の余剰計算能力(CPU)に対してAmazonが最低値を提示してオークションにかけるので、ユーザー、いやバイヤーはそれに対して最低値(スポット値)以上の金額を出すか、もしくは最高値をつけたバイヤーがそれを使用できるようにするというサービスのようです。バイヤーはインスタンス数、キャパシティの種類、地域を指定できるようです。

スポット値は当然需要と供給のバランスで動的に変化するようです。

さて、とりあえずAmazon1社がこれを始めるわけですが、いろいろと疑問がありますよね。まず、Amazonがつけるスポット値が適正であるか、第三者が適法かつ適切に検証できるのかというのがあります。電力やそのほかの商品先物と違ってこのスポット値はAmazonの言い値ですからそれが適切であるかどうかバイヤー側には実際にわからないことになります。本当はたくさんサーバーが余っているのにAmazonが高値をつけているかもしれないわけです。高ければ買い手がいないから下がるだろうという意見もありますが、実質的にライバルがいない以上Amazonの独占市場な訳で、市場メカニズムが正しく働くかわかりません。これは第二の疑問につながっていて、このようなスポット市場がオープンに競争参入があり得るのか、それに伴う利害調整と決済の場としての取引所ができるのかという点です。まずオープンに競争参入できるようになるには、計算能力を提供する側のサービスのインターフェイスが統一されていなければなりません、またユーザー側のプログラムとデータがサービス提供者間で移動可能であることの保証も必要でしょう。これは技術的な点とビジネスの点両方で大きな課題であると思います。また、それぞれのサービスが適切に行われているかの与信が必要で、そのためには各サービスに対する監査ルールの統一、当然サービス側のインフラ管理方法のルール化等も必要となり、第三者監査機関としての監査法人の育成といったものも必要になってきますよね。そういった合意形成やルール作り、取引所の設置に向けた必要な法制化のための働きかけ(ロビイング)といったことをクラウドコンピュータ業界(ちょw)はやっていくことができるのでしょうか。

Amazonの試みは大きな一歩ですが、これで何か計算能力自由化市場万歳みたいな話にはならないと思うので落ち着いてみておいてもいいかな。びっくりしたけど。

まぁ、そうは言っても何か舵は切られたって気もしなくもないので、山師の皆さんにおかれましてはこれらを踏まえて投資等々考えていただければと思います。それでどうなろうと当方は当然責任は持ちませんがねw

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