やめられない、止まらない、欲望が欲望を生む、欲望の資本主義。コロナが拡大させる格差。問題の本質は?出口は?BS1新春恒例の異色教養ドキュメント。世界で進む格差の拡大、固定化。その潮流が今日本を飲みこむ?低所得世帯の割合が上昇、中間階級は消滅するとの予測もある。中間層の喪失がもたらす社会の混乱は?脱工業化へと変わった、富を生むルール。私たちはどこで間違えたのか?経済の葛藤が、社会不安を引き起こす。今、何が起きているのか?資本主義の変質を捉え、社会構造の問題を解剖する。不透明な世界情勢の中、世界の知性とともに、社会の閉塞感を解く旅が始まる。
情報源: 欲望の資本主義2021 「格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時」 – BS1スペシャル – NHK
毎年正月恒例の欲望の資本主義。相変わらずこのシリーズ外れがないですね。以下は自分なりのまとめというかメモ。
オイルショックが無限の生産拡大の神話を壊した。労働による成長から資本による成長に切り替わった。オイルショックにより生産に必要な資材は無限ではないことがあらわになり、実体経済の成長が停止した。新自由主義の登場。資本による資本の成長。これにより、特定の人間達を犠牲にすることで成長を維持すると言う新しい神話を生んだ。富を産む資本が有形資本から無形資本へ変化した。無形資産は、アイデア、情報、ブランド、知財、将来への期待などで形成されている。アメリカでは90年代半ばに有形資産より無形資産への投資が増加した。IT革命の時期。生活必需品の生産拡大から「必要」を作るようになった。品質を保証するためのブランドから、ブランド自体が価値(無形資産化)を持つように変化した。無形資産は生産設備を持たないが故に規模を拡大しやすいが、有限の象徴である労働者にとっては良い話ではない。結果的に格差が企業間、国家間、社会の中でも拡大する。
処方箋はあるのか?プラットフォーマーに賢き王として振る舞うように社会的にプレッシャーをかけ続けることで、社会還元をさせる?社会、経済制度をアメリカ的資本主義から北欧型資本主義へ?成長は必要なのか?格差拡大を阻止するためにも成長は必要。発展途上国では特に重要。貧困からの脱出には成長しかない。しかし、デジタル無形資本主義社会では、「生産」は無いので生産を通した雇用や新たな消費は起きず、生産を通した雇用による賃金・資材調達という消費による再分配は行われない。国家がどの様な社会像を描き、再分配メカニズムを再構築していくのかがデジタル無形資本主義社会では問題になる。成長対社会や環境かでは無く、成長を維持しながら社会や環境を維持していく第三の道を見つけなくてはならない。競争から協働に社会を変化させなくてはならない。
希望は少ないが無いわけではない。
「市場が社会から切り離されるとき すべては市場の要求に従属することになる 市場は『悪魔の挽き臼(うす)』となり 社会は使い潰される」- カール ポランニー
参考: 「炎と猫と資本主義」に見る「2021年欲望の行方」 | 経済学 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン 不確実性への挑戦: コロナ危機の本質
丸山 俊一 (著), NHK「欲望の資本主義」制作班 (著)
価格: 1,760円
東洋経済新報社 (2020/10/23)