僕は日経バイトは残されたコンピュータ雑誌の中では秀逸であると思っていますが、今月号の特集は自分の興味対象に合っていることもあり、特に秀逸だと思ったので、以下にまとめます。
失敗を防止するための技術
失敗を二つに分ける
スリップ
行為の意図や目的は正しいが、、不注意により誤った行動をして、結果が目的通りにならない。
ミステーク
そもそもの行為の意図や目的が間違っていて、それに従って行動した結果として、失敗を引き起こす。
設計のための二つの工夫
スリップの防止
「間違いの一歩手間に遮断機を置く」確認ダイアログ、選択・実行という2アクション、押しボタンのカバー。
ミステークへの対応
やり直しの道筋。アンドゥ、バックアップからのリストア。
身体的特性の考慮
MIL-STD-1472F
操作盤の例:指示計やランプの位置、ボタンの大きさ、ボタンの周囲の感覚、ランプの色・・・
設計への人間工学的な配慮と認知科学にも尽く配慮。
設計者とユーザーとの思いの不一致
設計者のデザインモデルの中のシステムイメージとユーザーの持つメンタルモデルの中のシステムイメージの不一致による失敗。
ユーザーをよく知る。
ペルソナ法(石坂追記)
機器や環境が人間を守る
利用者の周囲にシステムを配置し、システムが利用者を理解する。
センサーネットワーク。
ユーザビリティ
UCD(User Centered Designe):ユーザー中心設計
「ユーザビリティをまじめに考えられたUIは、ぱっと見ただけでは特別な物だと気づかないデザインになることが多い。」
見栄えよりわかりやすさ
三菱電機のエレベータボタン・階数表示の例
利用頻度によるボタンの大きさ、色づけ、注意書きの変更。(「名前大事」石坂追記)
豪華さよりもシンプルさ
ブラザー複合機の例
「パネルが大きくキーがたくさんある方が豪華に見える」
↓
ユーザーにとってはボタンが多すぎてわかりにくいという評価。(目的の機能にたどり着けない:石坂補足)
↓
ユーザーの装置の使い方を検討・予測し、よく使う機能をシンプルに実現できるようにする。このためボタンを大幅に減らし、シンプルなパネル構成にした。
情報を自然な形で整理
日立製作所のWebサイトの例
ユーザーの目的に出来るだけ最短距離で到達できるWebサイト設計。製品や事業所のカテゴリではなくユーザーの目的に合わせた階層化、導線の設計。
自然なジャンル分け
ユーザーのメンタルモデルに合わせたジャンル分けを行ったカーナビゲーションシステムのユーザーインターフェイス。
多機能より機能を隠す
「同じ機械を様々な人が使うために」最大公約数的な基本となるUIをベースにユーザ毎の目的に合わせてカスタマイズする。(カスタマイズできるように作る)(富士ゼロックス複合機の例)
ユーザーの習熟度の合わせ、画面表示のエリアを分割し、それぞれに合わせた情報を表示する。(沖電気工業のATMの例)
操作が苦手な人に合わせる
沖電気工業ATMの例
一画面に表示する情報量を制限する。
逆に情報量を増やす。ボタンを押すことに一生懸命で画面遷移に気づかない人が多い。画面遷移では遷移が起こったことをわかりやすくするため、いきなり画面を変えるのではなく、紙芝居のように次の画面をフェードインさせる。
UCDに潜む課題
すんなり動くことがユーザーの満足を得ることには必ずしもつながらない。
人間の情動(Emotion)を喚起するデザインの重要性
スムーズにさせることによる全体デザインの複雑化
Norman “Human-Centered designe considered harmhul”
http://www.jnd.org/dn.mss/human-centered_desig.html
地道なユーザビリティも忘れるな
「情動を喚起するデザインは、地道なユーザビリティの先にある。」
雑誌の特集はもう1章ありますが、それは読んでのお楽しみということで。
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