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難しいと思って、そこで回れ右をしない。

技術者として仕事していると技術的に難しいと思うことによく出くわします。振られた仕事を効率よく、品質を保って作るには新しい技術が必要だったり、自分が未経験の分野のドメインのアプリケーションを作らなければならなかったりといった自分の持っているパラダイムで処理できないような場合に難しいと思うことが多いと思います。

このような場面に出くわした人が多くとる行動が、そういった難しい場面で回れ右をしてしまうことですが、これはよくありません。回れ右するというのは一つにはそこで思考停止して、それ以上何もしなくなったり、すねてしまうという反応、もう一つが、意識的か、無意識かは別にして、自分の想像力を小さくし、これまでの自分の経験や知識で対応できる範囲に対象を矮小化して、制限された状態で物事解決できると思いこむことです。また、多くの場合にはこの反応は同時に起こります。

しかしながらこれでは結局物事は何も解決されません。そう言った人間が多く関わってしまったプロジェクトはすぐに破綻してしまうでしょうし、個人にとって見てもせっかくの自分自身をのばす機会を自ら閉ざしてしまっています。最悪なのが何らかの意志決定の権限を持つ人がこのような態度をとってしまった場合で、その場合は何もかもがうまくいきません。難しいと思った物を放って置いても逃げることは結局できません。飯の食い方を変える気になれば逃げられるかもしれませんが、その場合でもその先で同じような場面に遭遇するでしょう。結局難しいと思った物には立ち向かって、難しく無いという状況に持って行くしか解決する方法がないのです。私は、技術的な困難さ、難しさなど、多の職業で出くわす難しさに比べればはるかにましな物のように思う時があります。

難しいと思う物に立ち向かうには、まず自分自身がなんでそれが難しいのか冷静に考えることで、何がわかって、何が解っていないのか、そもそも全然解っていないのか、とにかく自分の今の状況を知ることです。とにかくできるだけ具体的に解っていることと解っていないことを切り分けるのです。解っていないことのリストができあがれば、そのリストがそのまま学習対象のリストとなるので、次の計画が非常に立てやすくなります。

ただ、さっぱり全く解らない、想像もできないというのかなり困った状況ですが、現在は検索エンジンという強い味方もあるので、闇雲にキーワードで検索をかけてでも理解をしていくための糸口をつかむ必要があるかもしれません。それでも適切なキーワードを得るにはそれなりにその対象への想像力が必要になります。難しいと考える物を難しくなくする、つまりは理解するには想像力が不可欠なのです。

想像は妄想ではないので、ある程度根拠となる想像の種のような物が必要です。想像には根拠がいるし、想像を豊かにするには難しいと思う対象を類推したりや比較をするための何かが必要です。想像をして、対象の理解を深めて行くには想像の種を元に徐々にそれへの理解を深めていくというステップが必要となるのです。

そう言った種がどこにあるかというと、それは基礎技術と技術史の中にその種があるのです。どのように難しいと思う技術であっても、何らかのベースになる技術の元に作られている物ですし、何らかの歴史的な経緯によってその技術が生み出されているはずです。従って、日頃から基礎技術と、技術を歴史的にとらえるという習慣を身につけておくことで、想像の種を身につけ増やしていくことができ、結局そのことが難しいと思う物に出くわしたときに戦う力を生み出します。想像力を豊かにするために基礎と歴史を学びつづけるのです。種が少なければ、想像力が貧しくなり、対象を矮小化して考えるしか無くなり失敗を重ねることになります。今が苦しいなら、がんばって遠回りをするしかないこともあるのです。武道でも受け身ができなければ自分がけがをして痛い思いをするのです。難しさに対し回れ右をした痛みは自分で受けるしかありません。基礎と技術史を身につけて、難しさと戦いましょう。

 

なんでこんな事を書いたのか:

いまIT関連の技術公開というのは、MSから出てくるテクノロジーや製品だけでもすごくて、その他いろいろなことを含めたら、本当に技術の大洪水時代です。20年前に比べたら1000倍とか一万倍とかという量じゃないかと思います。本当にどばーっと流れて、流されっぱなしと言うのも現状で、技術者個々がその洪水にどうやって立ち向かうか考えないといけないのですが、洪水の勢いに飲まれておぼれ死んでしまいそうな人も多そうです。洪水に飲み込まれず、高見から構図を俯瞰する(Vista!!)必要があったりするわけですが、それをする唯一の方法は想像力をちょっと大きくふくらますことだと考えたりしています。この世の中想像力の欠如が原因で起きるような事故・事件も多いですし、先日の中部OFFでいろいろなまずいことも実際にはちょっとした想像力の欠如、その想像ができないファンダメンタル技術の無理解が原因みたいなお話しがあったのもあって、頭の中にもやもやしていた物をはき出してみました。

また、どうやって勉強するんですかとか聞かれることがすごーくたまにあるのですが、これがその答えになっているといいなぁ。

 

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