書評: 科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点

科学技術と社会との関わりを歴史的に俯瞰しつつ、本邦における科学技術の飼い慣らし方について述べている。

本邦では、東北震災での原発事故、コロナ禍での専門家や擬似専門家の問題、日本学術会議の任命における問題など、科学技術研究の当事者と世間との不幸な関わり方が目立っていると思う。その様な中で筆者は、科学技術の研究当事者と世間との協調、それによる科学の社会化にについての意見を述べており、著者の縁側の議論については大いに賛成する。

社会学者の宮台真司氏は社会学や政治の分野で、政治社会における現象を大衆に解説し啓蒙していく『ミドル』の存在の必要性に言及しているけれども、科学技術においても同様の『ミドル』の存在が『縁側』として必要なのだと思う。

これからのグリーン化してく社会、パンデミックが繰り返されていく社会では、世間と医学を含む科学技術の専門家とのコミュニケーションやそれを通した社会の知識化なくしては上手くいくわけが無い。本書はそれに向けた道標となる一冊だと思う。

ブクログより転載)