たのしい開発 スタートアップRuby | |
大場 寧子 大場 光一郎 五十嵐 邦明 櫻井 達生
技術評論社 2012-07-31 |
この本の評価は難しい。
どう難しいかというと、本書はRubyの文化、あるいは文化としてのRubyについて書かれた本だからだ。
本のタイトルから想像して、Ruby学習のための入門書としてこれを見ると、Rubyの文法説明にしてもRailsの説明にしても表層をただ舐めた感じで、ページ数も少なく、言語学習やフレームワーク学習の書籍としては正直全くと言っていいほど使い物にならない。
むしろこの本に書かれているのは、筆者たちの考えるRubyの思想、Rubyコミュニティにおいて尊重されると筆者たちが思っている価値観であって、プログラミング言語としてのRubyではなく、やはり文化としてのRubyを伝えようとしている、プログラミング言語文化論の本というのが適切だ。その「文化」はRuby圏以外の人間から見るとややキモイ性質と思われたりするものなのだけど、それを真正面から扱って表明しているすごさは、読むこちらの方が引く。
なので、本としては、言語学習書と言うより、むしろ「UNIXという考え方」に近い文化論の本だと思った。
UNIXという考え方―その設計思想と哲学 | |
Mike Gancarz 芳尾 桂
オーム社 2001-02 |
どのプログラミング言語も実際には、文化とも言うべきコンテキストをそれぞれ持っているが、ここまでそれを真正面に扱った本はあまり目にしたことが無く、良くも悪くもそれがRubyなのだろう。
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