書評 : 思考する機械コンピュータ

文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)
文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫) ダニエル ヒリス W.Daniel Hillis

草思社 2014-06-03
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コネクションマシンを作ったダニエル ヒルスによる、一般向け計算機科学の入門書。

日本では2000年に草思社より翻訳された単行本が刊行されており、今年になって同じく草思社から文庫化された。

ダニエル ヒルスはMITの大学院在学中にシンキングマシン社を設立して、世界で初めての商用超並列コンピューター、コネクションマシンを作り出した、並列計算の専門家だ。

2000年単行本刊行当時(恐らく)生意気だったので購入していなかったのだが、その後後悔していて、こうして文庫本が刊行されてに入りやすくなったのは正直とてもうれしい。

また、訳者による文庫版後書きにもあるが、当時コネクションマシンのような並列計算機を個人で入手するのはまだ、夢のような話だったが、現在ではおよそ見た目でマイクロプロセッサが入っていそうな物、PCやスマホに限らず、ブルーレプレーヤーやデジタルテレビ、カーナビなどに搭載されたほとんどのプロセッサが並列計算機になっている状況だし、クラウドコンピューティングによって個人でも無理をすればそれなりの能力の並列計算能力を手に入れる事が出来るし、ソフトウェアの発展で使うことの難易度も下がっている。最近では機械学習までサービス化されているわけだし。

そういった現在の状況から、本書を読み直してみると、後半の7章並列コンピュータ、8章学習できるコンピュータ、9章工学的アプローチの次に来るものの内容の先進性に大変感心するのだ。

最初書いたように、本書はあくまでも一般向けである。マーケッティング用語に踊らされず、適切な投資を今のクラウドコンピューティングや「ビッグデータ」技術に対して投資をしてして行く判断をするには、その背景にある科学的な根拠を理解しておくのは重要なことだと思うので、是非投資先の選定や決定を行うビジネスパーソン、企業CIOやCEOの方達には是非読んでほしい。もともと十数年前に刊行された本だが、今何故こうなのかを理解する上で役に立つと思う。

また、すばらしい計算機科学の入門書なので、将来プログラマや計算機設計者を目指す、中高生諸君にも是非この夏休みに読んでほしい。

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