大島芳樹のカリフォルニア日記 – [アラン・ケイ] 東大での講演
アーキテクチャについて。ピラミッドは、ひたすら大量のごみを何十年もかけて積み重ねて、表面を大理石で覆ったようなものだった。まるで今のソフトウェアのようである。エンパイヤ・ステート・ビルディングは、3000人以下の人が11ヶ月(前に建っていたビルを破壊するところも含めて)で建てたもので、非常によく計画されていたので、ピッツバーグの製鉄所から運ばれてきた鉄がまだ暖かいうちに使われていたくらいだった。これこそが”engineering”というものであろう。engineeringという言葉を聴くと、吊り橋やジェットエンジンのことを思い浮かべるが、ソフトウェア作りはまだそこまで達していないと思う。1968年にソフトウェアエンジニアリングという言葉が作られたとき、作った人々はまだソフトウェアはまだエンジニアリングと呼べるまでに達していないということは理解していて、「そちらを目指すべきだ」という意図を持っていた。が、問題なのは、今の人は「ソフトウェアエンジニアリング」というものがちゃんと存在していると思ってしまっていることである。
ひー。大師匠ごめんなさい。僕が間違ってました。
そのためにModel-Tについて話したい。
(途中略)
スパークプラグの透き間は、10セントコインの暑さを使って測るようにできていた。Henry Fordにそれはなぜかを聞いたら、「みんなゲージはなくしちゃうだろうけど、ダイムはだいたいもっているからね」と言った。ソフトウェアでも、そういうものを作りたいと思っている。
それこそユーザーへの最適化ですよね。
今の人は車には$20,000払うが、コンピュータには$2,000以上は使わない。コンピュータに価値を見出してない。研究者なら自分で速いコンピュータを作るべきである。Altoを作ったChuck Thackerは、David Pattersonと共に2 cubic feetの最速コンピュータを作ろうとしている。これは筐体内の2/3くらいはFPGAである。LindaをFPGAで作ったりすることを考えると、メッセージングの処理などの性能ががらっとかわり、ソフトウェアの作り方が変わる可能性がある。
うぉーやっぱすげー。言っちゃうのがすげー。HPのフェローのくせにっ。
これは僕も不満に思っていて、たいていの研究者がPCを使うか、突然スーパーコンピューターを作り始めるかって感じで、未来の計算機の姿、これはハードウェアもそうだし、ソフトウェア制作も含めて、それに対してビジョンを見せる研究者、研究所がない。あっても僕らレベルにそれが見えてこないのが大いに不満。Xerox Parc, MITメディアラボがそうだったように、僕らのビジョンを見せる存在がほしい。大風呂敷ひろげろっちゅーの。最近日経サイエンスあたりで、計算機の特集がないのでもこのことは明らか。
大事なのは、Squeakも含めて今のソフトウェアは駄目だということである。特に東工大のほうでの講演はやや話し方にあいまいさが合ったともいえるが、Squeakはすでに大きすぎるし、中身もIanのやつのように柔軟性が無いのであまりよろしくない。Squeakを卒業して、もっと良いものを作るのがこれからの目標である。Susan Sontagが言うように、理解というのは現状をそのまま受け入れるのをやめることから始まる。
前からご不満だとあちこちで言われていたように思いますが、やはり全然満足していないようです。
大師匠はボケるどころか(失礼)大いに闊達なご様子。
この仕事もまだまだやることはあるし、自分の考え方次第でまだまだ面白いことが起きる。
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